アメリカの不動産投資3原則
アパート、ショッピングセンター、オフィスビルの商業物件の不動産投資をするにあたりまずお考えになることは以下の3点だと思います。
1.物件からの利益率
2.将来の売却益
3.税金対策
上記3点が最重要ポイントであることはアメリカの不動産投資でも同様です。
ここではこの3点に沿いアメリカで通常使用される用語や現地の状況、知っておくべき簡単な法律をご説明してまいります。
1 物件からの利益率
アメリカでは不動産からの利益表示として、GRM(グロスマルティプライアー)とCAP RATE (キャップレート)というもの使います。 GRMとは売値を年間のレント収入の総額で割った数値です。 数値が小さいほど利益率が高くなります。 例えば不動産価格が300万ドルのアパートを購入するとして、レントの収入が年間20万ドルの場合GRMは、以下のように15になります。
$3,000,000 ÷ $200,000 = 15
反対に、CAP RATEはレント収入から諸経費を引いた純利益を不動産価格で割ったパーセンテージでパーセンテージが大きいほど利益率が高くなります。 日本で言う利回りにあたります。 例えば上記のアパートの例で、仮に経費が年間5万ドルでしたらCAP RATE は以下の様に5%になります。これが利回りです。
($200,000 − $50,000) ÷ $3,000,000 = 0.05 (5%)
つまり利益率はGRMの数値が低いほど、CAP RATEが高いほど良くなります。 地域によりGRMと CAP RATEの相場がありますが、通常ハイリスクハイリターンで、悪い地域ほど利益率が高く良い地域ほど低くなります。 商業物件のリスクとして、悪い地域ではテナントの家賃の支払いが滞ったり、空き部屋がなかなか埋まらなかったりします。
お勧めの地域は、リスクとリターンのバランスの取れたミドルクラスの人々が住むエリアです。 また1000万ドルを越える大型物件の場合利益表示としてGRMと CAP RATEとあわせ、IRR(インターナルレートオブリターン)というものがたびたび使用されます。 アメリカでは物件の現在価値の計算方法として、将来の予想収益をもとにしてそこから毎年の物価の上昇率やリスク要因などをディスカウントして算定することがあります。 これは専門家による複雑な計算と説明が必要ですのでここでは簡単に要点だけ申し上げます。
IRRとは投資の利益の合計によって計算された物件の現在価値が0になるところまで将来の予想収入をディスカウントしたパーセントです。例えば、IRRが5なら5%のディスカウントで現在価値が0ですが、10なら10%ディスカウントしなければ現在価値が0にならないということでこの数字が大きいほど利益率がよくなります。 つまり利益率に関する逆転の発想です。 しかし物件を選ぶ際、あまり物件からの利益率だけを追求しすぎると地域や物件のコンディションが悪くなり、将来売るときに買い手がなかなか見つからず買い叩かれてしまうリスクがありますのでほかの要素とのバランスが重要です。
2 将来の売却益
日本の不動産と違いアメリカの不動産は、極端な市場の下落がない限り、古くなっても新築時の値段より高く売れるのが通常です。 そして将来の売却益を考えると地域としてはロサンゼルスがお勧めです。 それはロサンゼルスが過去50年にわたり不動産価値の上昇率が全米トップだからです。 一年をとおして温暖な気候で、サンタモニカやビバリーヒルズに隣接するロスは世界中からの移民で人口が増加しています。 人口増加にアパートの供給が追いつかない状態でレントの需要が非常に高く、又新規にビジネスをする人々も多くショッピングセンターやオフィースビルもほかの地方都市に比べ空室率は大変低いです。
それでは商業物件を売却するに当たりどのように売値を設定するのかをご説明します。 売値を決める基礎になるものにアパートの場合前項のGRM が、ショッピングセンターとオフィスビルの場合CAP RATEがよく使われます。 このGRM とCAP RATEは地域によって相場があることは申し上げました。 例えばアパートを売ると仮定し、その地域の平均GRMが 13, 物件からのレント収入が年30万ドルとします。 GRMをもとに計算すると、基礎になる価格は390万ドルになります。
$300,000 × 13 = $3,900,000
この基礎となる価格に物件のコンディションや不動産市場の状況などを含め売値が決定されます。したがって商業物件の場合、レント収入に基づいて売値が決定されますので、購入後レントを徐々に上げていき年収を増やすことで、より高値で売却することができます。 ただし頭に入れておかなければならないのは、レントコントロールの存在です。 レントコントロールとはレント需要の増加とともに1978年に制定されたテナントの保護を目的とする法律です。対象はアパートのみでショッピングセンターやオフィスビルは対象外です。 ロサンゼルス、サンタモニカ、ビバリーヒルズ、ウエストハリウッドの各市が実施しておりますが、概要は以下の通りです。
- 家主は自分や家族が住む目的以外、テナントの意思に反して立ち退かすことが出来ない。
- 自分や家族が住む目的でテナントを出す場合でも、立退き料を払わなければならない。
- 年間の家賃の上げ幅が、年最高3%(ロサンゼルス市の場合)に限定される。
逆に、レントコントロールのある市でその対象外になる1978年以降の建物は、買い手にとっては魅力で高く売ることが出来ます。
3 税金対策
株や債権にはない不動産投資の利点として税金対策が挙げられます。 ローンの金利、固定資産税、火災保険を含む諸経費が所得から控除の対象になります。 さらに商業物件の場合、27.5年に渡り建物の部分に関し減価償却が認められ利益と相殺することができます。又物件売却時に利益が出た場合、1031 EXCHANGE という方法で売却益にかかる税金を先送りすることもできます。 その方法とは、物件を最低1年間保有して売却後、その物件と同等かそれ以上の価値の物件を45日以内に指定し、180日以内に購入を完了させることです。購入する物件は複数でもかまいません。複数の価値の合計が売却物件と同等かそれ以上であればよいのです。
この1031EXCHANGEのメリットは、税金を先送りすることで、本来税金に使う資金を新たな投資に使用することができることです。 言い換えれば税金の額だけ国から資金を無利子で借りて使えるということになります。
